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文献詳細

雑誌文献

臨床検査42巻4号

1998年04月発行

文献概要

今月の主題 肥満 話題

肥満の功罪

著者: 池田義雄1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学健康医学センター健康医学科

ページ範囲:P.444 - P.445

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1.はじめに
 300万年以上を経た人類の歴史の中で,遺伝子のしくみは,今日のようにたとえ豊富な食糧が供給され,美食・過食が可能になったからといって,これに順応すべくそう簡単に変化しうるものではない.長い狩猟生活時代を振り返ると,獲物を得たときには腹いっぱい食べてエネルギーを脂肪組織として備蓄する機構と,飢餓状態に置かれたときには備蓄した脂肪組織を分解して上手にエネルギー化する機構とのバランスのうえで,人類は生命活動を長い間維持してきたと言える.
 今,この機構すなわち飢餓への対応のしくみが裏目に出て,過剰な体脂肪蓄積者つまり肥満者が出現し,多くの健康障害が引き起こされるに至っている.このようなことからすると,肥満は決して忌み嫌われるべき性質のものでないことが,よく理解できる.すなわち,人が体脂肪を蓄積しうる機能は,人の生存にとって大変な"功"だということである.しかし,人の置かれる環境の激変はこの機能を"罪"深きものとしている.本稿では,肥満が"なぜ罪深いか"について生活習慣病の視点から解説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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