文献詳細
文献概要
シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編
CGH法
著者: 坂部智哉12 稲澤譲治1
所属機関: 1東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター 2京都府立医科大学整形外科
ページ範囲:P.446 - P.449
文献購入ページに移動はじめに
分染法の導入以降,腫瘍の染色体分析は精力的に行われ,周知のように造血器腫瘍や軟部組織腫瘍の転座切断点からは腫瘍化に直接かかわる原因遺伝子が単離されており,その多くは転写因子であることも明らかになっている1).しかし,固形腫瘍においては,定型的な転座異常を見つけることは少なく,特に上皮性の腫瘍においては,欠失やイソ染色体といった染色体レベルのコピー数の変化を意味する異常がほとんどを占めている.このことは,古典的な染色体分析法によるアプローチのみで,胃癌や乳癌をはじめとする上皮起源の固形腫瘍のゲノム異常解析を進めても,ポジショナルクローニングの標的にできるような新たな染色体異常を見つけ出すことがかなり難しいということを示している.したがって,固形腫瘍の染色体レベルのゲノム異常解析において,ブレイクスルーとなるような新たな技術の開発が望まれていた.
蛍光in situハイブリダイゼーション(fluorescence in situ hybridization;FISH)法は,顕微鏡をとおして標的とする核酸分子を染色体や間期核に蛍光シグナルとして捉えることができる分子細胞遺伝学的手法である.このFISH法を基盤にして,1992年末にCGH(comparative genomic hybridization)法が開発された2,3).
分染法の導入以降,腫瘍の染色体分析は精力的に行われ,周知のように造血器腫瘍や軟部組織腫瘍の転座切断点からは腫瘍化に直接かかわる原因遺伝子が単離されており,その多くは転写因子であることも明らかになっている1).しかし,固形腫瘍においては,定型的な転座異常を見つけることは少なく,特に上皮性の腫瘍においては,欠失やイソ染色体といった染色体レベルのコピー数の変化を意味する異常がほとんどを占めている.このことは,古典的な染色体分析法によるアプローチのみで,胃癌や乳癌をはじめとする上皮起源の固形腫瘍のゲノム異常解析を進めても,ポジショナルクローニングの標的にできるような新たな染色体異常を見つけ出すことがかなり難しいということを示している.したがって,固形腫瘍の染色体レベルのゲノム異常解析において,ブレイクスルーとなるような新たな技術の開発が望まれていた.
蛍光in situハイブリダイゼーション(fluorescence in situ hybridization;FISH)法は,顕微鏡をとおして標的とする核酸分子を染色体や間期核に蛍光シグナルとして捉えることができる分子細胞遺伝学的手法である.このFISH法を基盤にして,1992年末にCGH(comparative genomic hybridization)法が開発された2,3).
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