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文献詳細

雑誌文献

臨床検査42巻4号

1998年04月発行

文献概要

トピックス

HHV 8とカポジ肉腫

著者: 立川夏夫1

所属機関: 1国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センター

ページ範囲:P.455 - P.457

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1.HHV 8
 カポジ肉腫は,地中海沿岸住民や東欧系ユダヤ人の高齢男性に好発するまれな悪性腫瘍として知られていた.1981年以降は,男性同性愛者の後天性免疫不全症候群(AIDS)患者間でのカポジ肉腫の多発が認められ,何らかの感染性病原体の関与が疑われていた.サイトメガロウイルス,ヒトパピローマウイルスなどが病原体の可能性として挙げられていた.1994年12月,ChangらはPCR(polymerase chain reaction)法を応用して,正常組織には存在せずカポシ肉腫の組織にのみ認められる未知の遺伝子断片を検出した1).この遺伝子断片に対応する新しいウイルスは他のヘルペスウイルスと相同性が高いことが確認され,HHV 8(human herpes virus 8)またはKSHV(Kaposi's sarcoma-associated herpesvirus)と呼ばれている.現在,遺伝子の大きさは約170~270kbと類推されており,ヘルペスウイルス科のガンマヘルペスウイルス亜科に属すると考えられている.ガンマヘルペスウイルス亜科の特徴は腫瘍ウイルスであり,この科に属するウイルスとしてはEBVとHVSの2種類が知られている2).EBVはアフリカ小児に風土病的に多発するバーキットリンパ腫細胞の培養中に発見されたウイルスであり,Bリンパ球に感染し,Bリンパ球を芽球化・不死化させることができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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