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文献詳細

雑誌文献

臨床検査42巻4号

1998年04月発行

文献概要

トピックス

心室由来心臓ホルモン(BNP)

著者: 川口秀明1

所属機関: 1北海道大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.457 - P.459

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1.心房性ナトリウム利尿ペプチドとは
 従来,ポンプ器官と考えられていた心臓から,内因性降圧利尿物質である心房性ナトリウム利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide;ANP)が分泌されることが明らかになって以来1),この分野の研究は驚異的なスピードで進んでいる.現在まで,ナトリウム利尿ペプチドファミリーとして3種類報告されている(図1).ANPのほかに,ブタ脳で発見された脳由来ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide;BNP),ヒトやラットでは視床や視床下部,小脳に多く存在するC型ナトリウム利尿ペプチド(C-type natriuretic peptide;CNP)がそのファミリーである.このうち,ANPとBNPは主に心臓で生合成・分泌され,心臓ホルモンとして働いている.ANPとBNPは膜型グアニルシクラーゼであるナトリウム利尿ペプチド受容体を介し,利尿,血管平滑筋弛緩およびレニン・アンギオテンシン系の抑制などの生理活性を示す.ANPやBNPはさまざまな心臓負荷に反応して生合成され,分泌される.これらペプチドの作用によって,心臓に対する前負荷および後負荷が軽減されるために,いわば心臓の自己代償機構の1つと考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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