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文献概要
今月の主題 注目されている感染症―Emerging Infectious Diseases 総説
Emerging Infectious Diseasesとエコロジー
著者: 稲松孝思1
所属機関: 1東京都老人医療センター感染症科
ページ範囲:P.512 - P.518
文献購入ページに移動 現在の生態系は40億年の生命の歴史の中で,分化,共進化を遂げ,多様化した生物が共生する全体として1つの生命体ととらえることができる.その構成員であるヒトと微生物は,相互にさまざまな影響を与えながら,共存できないものは淘汰されながら,共存を目ざして進化している.生活様式の進歩/変容,人為を超えた地球環境そのものの変化は,今後も生命の歴史のうえで続いていくものであり,その中で,ヒトと微生物の共存点を求めて共進化し続けていくものであろう.生活様式,環境が変化する際に生じる,生態系の空白部分を埋めるように生じるのが,emerging and re-emerging infectious diseasesであろう.このようにして,必然的に生じうる感染症の起こりかた,実害を常時監視しながら有効な対策を求め続けることが必要なのである.
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