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文献概要
シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編
LDH欠損症
著者: 須藤加代子1 前川真人2 菅野剛史3
所属機関: 1東京慈恵会医科大学第三病院臨床検査医学 2国立がんセンター中央病院臨床検査部 3浜松医科大学臨床検査医学
ページ範囲:P.579 - P.583
文献購入ページに移動乳酸脱水素酵素(LDH)はH (B)とM (A)の2種のサブユニットの4量体で活性が認められ,H4,H3M1,H2M2,H1M3,M4の5種のアイソザイムが存在する.これらは各細胞・組織で特異的なパターンを示すので,LDH総活性,アイソザイム分析が損傷臓器の診断の目的で臨床検査に用いられている.血清LDH活性が非常に低い例からHサブユニット欠損症が1),LDHとほかの血清酵素活性の上昇との間の理解しがたい解離からLDHアイソザイム分析が依頼され,Mサブユニット欠損症が発見された2).Hサブユニット欠損症の中には,完全欠損ではなく,赤血球のLDHアイソザイムパターンで完全に5型(M 4)のみではなく,4型や3型も観察される不完全欠損例も存在する3).パナマやコスタリカのインディアンには,ホモテトラマー,1型(H4)のみが活性を失う遺伝性多型LDH-B*GUA 1が報告されている4).
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