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文献詳細

雑誌文献

臨床検査43巻11号

1999年10月発行

文献概要

特集 臨床検査の新しい展開―環境保全への挑戦 Ⅰ.地球環境の現状とその保全

3.大気汚染の原因物質と健康

著者: 橋本正史1

所属機関: 1大阪府立公衆衛生研究所公害衛生室

ページ範囲:P.1215 - P.1222

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はじめに
 20世紀に入り,工業化社会の発展とそれに伴う人口の都市への集中により,大気汚染が発生し,それによる健康障害が社会問題になるようになった.特に,1952年のロンドン(人口830万人)で起きた4日にわたる煙霧(smog)は3,500~4,000人と推定される超過死亡をもたらし1),大気汚染による健康被害がときとして生命にかかわるほど重大なものであること示した.わが国でも,1960年代中ころから1970年代にかけて石油化学工業地帯で晴れた日でも空を灰色に曇らせる煙霧が発生し,それと同時に当該地域で慢性気管支炎や気管支喘息の発症の増大がみられた2).当時,このことは目にみえる"大気汚染公害"として社会問題になったが,今日ではかつてのような煙霧はなくなり,また,近隣に比べ突出して慢性気管支炎や気管支喘息の有症者が多いという地域も見当たらないため,大気汚染の問題は人々の目にみえるものではなくなってきている.一方,代表的な大気汚染物質である二酸化窒素について環境基準(表1)を達成していない地域が大都市の幹線道路沿いに数多くみられること,この状況に並行して,アレルギー性鼻炎や気管支喘息などの有症率が都市部で増大してきていること,また,都市部で大量に発生するゴミの焼却によってダイオキシン汚染が起きていることなどがマスコミなどで頻繁にとり上げられるようになり,目にみえない大気汚染やその健康影響に対する人々の関心が近年高まってきている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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