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文献詳細

雑誌文献

臨床検査43巻11号

1999年10月発行

文献概要

特集 臨床検査の新しい展開―環境保全への挑戦 Ⅱ.環境問題と疾病 1.オゾン層の破壊

2)オゾン層の破壊と皮膚疾患

著者: 市橋正光1

所属機関: 1神戸大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.1257 - P.1262

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はじめに
 化学的に極めて安定で不燃性であり,さらに人体に無害であるばかりでなく,無臭であるフロンガスは20世紀の大きな発見として人類の生活向上に貢献した.機械類の洗浄,冷媒,さらには断熱用発泡スチロールやスプレーの材料として先進国の産業の発展を支えてきた.ところが1905年Farmanら1)は1960年代後半から顕著になってきた南極のオゾン層の減少と逆相関してフロンガスに由来する塩素原子が増加していることを示し,1973年のMolinaとRowland2)の予測が正しいことを確認した.フロンガスでも特にフロン11,12,113や114は大気中を上昇し,地表20~30kmでオゾン濃度が高くなりいわゆるオゾン層(高濃度といっても地上の気圧下ではわずか3cmほどの薄い層である)まで達すると太陽紫外線を吸収し,塩素ガスを放出し,光解離して塩素原子となり,オゾン層を破壊し,ClOとなる.
 ClOから再度塩素ガスが生じ次のO3,分子を破壊する.1個の塩素分子は約10万個のオゾン(O3)分子を破壊することがわかった.特に南極では冬から春にかけて成層圏の濃度が著しく低くなるため,効率よくO3が分解されると考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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