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雑誌詳細

文献概要

特集 臨床検査の新しい展開―環境保全への挑戦 Ⅱ.環境問題と疾病 4.大気汚染

5)大気汚染と免疫機能

著者: 小林隆弘1

所属機関: 1国立環境研究所環境健康部

ページ範囲:P.1327 - P.1330

はじめに
 われわれは約20m3の体積の大気を毎日吸入している.この中には,多くの化学物質,また,細菌,ウイルス,カビなどの微生物が存在している.気道を構成する細胞や免疫担当細胞はつねに吸入されてくる異物に対処しているものと考えられる.大気汚染物質により免疫機能が修飾されるとアレルギーや感染といった疾病の要因になる.
 近年,喘息,鼻アレルギーなどアレルギー関連疾患の患者が増加していると言われている.また,大気汚染濃度の高いところではアレルギー関連疾患の有症率が高い傾向が報告されている.一方,1979~1994年におけるオーストラリアでの感染病死の傾向の結果では気道感染についての近年の傾向は減少する方向にあるとされている.しかしながら大気汚染との関係では,大気汚染物質の濃度が高くなると気道の感染の頻度が上昇するという報告がある.大気汚染とアレルギー関連疾患や気道感染の増加が関連するかどうかについての疫学的な調査の結果および動物実験の結果について紹介する.

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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