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文献詳細

雑誌文献

臨床検査43巻7号

1999年07月発行

文献概要

今月の主題 マスト細胞 話題

翼状片

著者: 中神哲司1

所属機関: 1浜松医科大学眼科

ページ範囲:P.778 - P.780

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はじめに
 翼状片は,主に角膜の鼻側から結膜様組織が角膜上に侵入していく疾患である(図1).眼科の日常診療ではよく遭遇する疾患で,進行例には外科的切除が行われるが,しばしば再発し,治療に苦慮することも多い.病理組織学的に翼状片上皮下組織には多くの線維芽細胞浸潤,弾性線維変性物質や異常な膠原線維の集積が認められる1).またマスト細胞をはじめ,リンパ球,形質細胞浸潤がみられ,角膜ボウマン膜の破壊や血管新生も著明に認められる1).翼状片の原因はいまだ明らかではないが,疫学的研究などから紫外線被爆の関与が推測されている.
 マスト細胞は,アレルギー性炎症反応を引き起こす主要な細胞であるが,非アレルギー性の慢性炎症や線維化,血管新生にも深く関与することが知られており.翼状片の病態形成にマスト細胞が関与している可能性が高い.この点から,最近明らかとなった知見について,ここに紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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