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文献詳細

雑誌文献

臨床検査43巻7号

1999年07月発行

文献概要

今月の主題 マスト細胞 話題

キマーゼと骨格筋疾患

著者: 佐橋功1 衣斐達1

所属機関: 1愛知医科大学第4内科

ページ範囲:P.784 - P.785

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1.キマーゼの機能
 キマーゼ(chymase)は,ほぼ選択的かつ多量に肥満細胞(マスト細胞)と極一部はマクロファージや血管内皮細胞で合成・貯蔵され1,2),細胞外へ緩徐で持続的な脱顆粒により放出される分子量約25kDaのセリン(アミノ酸の一種)プロテアーゼ(セリン基を持つ蛋白質の分解酵素)の一種である3).肥満細胞は各種のサイトカインをはじめヘパリン・ヒスタミン・プロテアーゼなどの多彩な炎症修飾物質の宝庫であり4),動脈硬化などの線維性増殖や修復に対し中心的な役割を担う1,5,6).肥満細胞で合成・貯蔵・分泌されるプロテアーゼは,トリプターゼ・キマーゼ・カルボキシダーゼであるが,キマーゼとカルボキシダーゼは結合組織型に発現し,固定化酵素として内因性プロテアーゼ阻害物質や自己分解および他のプロテアーゼの攻撃から防護され細胞外で長期に酵素活性を発揮する.キマーゼのin vitroの機能は組織間質の線維化や血管新生など多様であるが,臨床的には主に循環器領域で動脈硬化・心肥大・高血圧症の発症との関与が注目されている1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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