文献詳細
文献概要
コーヒーブレイク
三枚の絵
著者: 屋形稔1
所属機関: 1新潟大学
ページ範囲:P.35 - P.35
文献購入ページに移動 特に絵画や写真に通じているわけでもなく自分で創作するわけでもないが,居間やオフィスに掲げていると落ち着くし,時間の流れや未来の夢も感ずることが多い.
その1枚は10号あまりの複製画であるが,もとは新潟市出身の洋画家安宅安五郎の「砂丘に立つ子供」というもので,大正9年の第2回帝展で特選を受賞した100号の大作である.原画は当時開校したばかりの旧制新潟高校に寄贈された.坂口安吾が「故郷は語ることなし」と愛した新潟砂丘をバックに,ねんねこにくるんだ赤銅色の赤子を背負った少女が一人垂れこめたにび色の雲の下に立っている.太平洋戦争下に高校時代を送った私達はもちろん,戦後大学移管まで長い間学生は講堂でこの絵に見入っていたものである.
その1枚は10号あまりの複製画であるが,もとは新潟市出身の洋画家安宅安五郎の「砂丘に立つ子供」というもので,大正9年の第2回帝展で特選を受賞した100号の大作である.原画は当時開校したばかりの旧制新潟高校に寄贈された.坂口安吾が「故郷は語ることなし」と愛した新潟砂丘をバックに,ねんねこにくるんだ赤銅色の赤子を背負った少女が一人垂れこめたにび色の雲の下に立っている.太平洋戦争下に高校時代を送った私達はもちろん,戦後大学移管まで長い間学生は講堂でこの絵に見入っていたものである.
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