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文献詳細

雑誌文献

臨床検査44巻1号

2000年01月発行

文献概要

今月の主題 質量分析―新しい臨床検査への展開 話題

ダイオキシン分析

著者: 野嶋一哲1

所属機関: 1日本電子(株)分析機器技術本部応用研究センター

ページ範囲:P.69 - P.73

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1.はじめに
 ダイオキシン類の中で2,3,7,8―テトラクロロジベンゾ―ρ―ジオキシン(2,3,7,8―TCDD)は人類が作り出した化学物質の中で最強の毒性を持った化合物で,マウスにおける急性毒性LD 50(μg/kg)は283.71)である.一般的にダイオキシンと呼ばれているものはポリクロロジベンゾ―ρ―ジオキシン(PCDDs)とポリクロロジベンゾフラン(PCDFs)を含めた化合物を総称して用いられ,これらをダイオキシン類と称している.ポリクロロジベンゾ―ρ―ジオキシン(PCDDs)は75種類,ポリクロロジベンゾフラン(PCDFs)は135種類の異性体を有している.これら化合物の構造式を図1に示した.この中で分析対象となっているものは,4塩素体から8塩素体の136異性体に対して行われる.また最近では,ダイオキシン類に加えて共平面構造を有するコプラナーポリクロロビフェニール(Co-PCBs)でオルト位に塩素が配位していないもの,1つあるいは2つ配位している化合物のうち,14種の分析も同時に求められている.
 ダイオキシン類は当初農薬の副産物として生成され問題となった,これに加えごみの焼却に伴い生成され環境汚染が問題視されるに至り,ごみ焼却場を多く抱えるわが国においては急激に関心が高まるとともに,危険回避のための焼却場排ガスならびに焼却灰中のダイオキシン類分析の要求が急増してきている.こうした環境汚染がもととなり,食物連鎖の結末として人体にこれら有害物質が蓄積されることとなる.さる1999年7月12日には"ダイオキシンの排出削減を目指すダイオキシン類対策特別措置法"が衆議院本会議にて可決,成立した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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