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文献概要
今月の表紙 帰ってきた寄生虫シリーズ・3
旋尾線虫type X幼虫
著者: 藤田紘一郎1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部医動物学
ページ範囲:P.234 - P.235
文献購入ページに移動 1990年から,本州中部以北で,当時全国的に患者の発生が相次いでいたドジョウを感染源とする顎口虫幼虫とは明らかに断端構造が異なる幼虫による皮膚爬行症が報告されるようになった.病理組織標本中の虫体断端から,旋尾線虫type X幼虫によるものと考えられた.その後の検討により,同様の皮膚爬行症は1985年ごろから発生していることが確認された.しかし,この幼虫の成虫および生活史はいまだ不明である.
患者は春から夏にかけて発生し,ホタルイカを内臓ごと生食した後に発症していることから,感染源はホタルイカ(図1)であると考えられた.感染源調査ではホタルイカのほか,スケトウダラ,スルメイカ,ハタハタの消化管に旋尾線虫type X幼虫の寄生が認められている.
患者は春から夏にかけて発生し,ホタルイカを内臓ごと生食した後に発症していることから,感染源はホタルイカ(図1)であると考えられた.感染源調査ではホタルイカのほか,スケトウダラ,スルメイカ,ハタハタの消化管に旋尾線虫type X幼虫の寄生が認められている.
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