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今月の主題 糖化蛋白と蛋白のグリケーション 総説
糖尿病と糖化蛋白
著者: 松本賢士1 永井竜児1 堀内正公1
所属機関: 1熊本大学医学部生化学第二講座
ページ範囲:P.251 - P.256
文献購入ページに移動 網膜症,腎症および神経障害などの細小血管障害(microangiopathy),ならびに虚血性心疾患,脳血管障害などの動脈硬化(atherosclerosis)に基づく大血管障害(macroangiopathy)などの糖尿病性血管合併症は長寿社会のQOLを脅かす主要因子である.糖尿病合併症の成因に1つとして,蛋白のグリケーション(糖化),特に,後期反応生成物(AGE)が注目されている.最近の機器分析や免疫学的手法の進歩によって,個々のAGE構造体に視点を置いた研究が活発に展開されており,AGE修飾蛋白,ならびにAGEを特異的に認識するAGE受容体が糖尿病性腎症,糖尿病性網膜症,糖尿病性神経症や,動脈硬化性血管病変部に蓄積・発現していることから,AGEは糖尿病合併症の成因として重要性が示唆されるが,AGEの合併症発症・進展における役割を明確にするには,さらなる基礎データの蓄積が必要と思われる.
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