icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査44巻3号

2000年03月発行

文献概要

今月の主題 糖化蛋白と蛋白のグリケーション 話題

毛髪の糖化度指数

著者: 小林邦夫1

所属機関: 1塩野義製薬株式会社医薬事業部

ページ範囲:P.275 - P.279

文献購入ページに移動
1.はじめに
 現在,糖尿病コントロールにおける血糖,血中糖化蛋白(グリコヘモグロビン,フルクトサミンなど)の臨床的意義,それらの測定法はすでに確立されている.糖化蛋白は糖化ケラチンとして毛髪中にも分布し1),その含有量は血中糖化蛋白量と相関することが知られている2).毛髪は,採取が非侵襲的,非医療施設(家庭,職場など)での採取が可能,過去の特定時期または長期間(数か月一数年)の平均的生体情報を含む,物理・化学的に安定,長期保存が可能,輸送が容易など,臨床検査試料として多くの長所を持っている.毛髪は,毛母細胞の成長,角質化により伸長する.毛細血管の分布する毛乳頭から細胞内に取り込まれた血中成分はメラニン,SHを含むアミノ酸,蛋白質などと結合して角質化細胞内に封じ込まれる3).当然,成分の分布は毛髪の成長速度に一致して先端部に移動すると考えられる.したがって,ある種の血中成分濃度は毛髪中濃度に反映される.毛髪が臨床検査試料となり得るゆえんである.
 本稿では,筆者らの考案した簡便,迅速な方法により毛髪蛋白の糖化度を求め4),糖化度指数で表示する方法5)について解説する.すなわち,毛髪蛋白(ケラチン)中のシスチン含量が動物種により一定であることから6,7)の,同一試料を用いて毛髪中のシスチン8)と糖化蛋白9)を順次呈色させ(図1),毛髪蛋白の糖化度をシスチン当量(糖化度指数,A390/A412, A390, A412はそれぞれ糖化蛋白,シスチン由来の吸光度を示す)で表示する方法を紹介する.さらに,ヒト臨床試料(頭髪)と病態動物の背毛を用いて求めた糖化度指数が病態(高血糖状態など)を反映することを示す成績5鋤を合わせて紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?