文献詳細
文献概要
今月の主題 糖化蛋白と蛋白のグリケーション 話題
血中糖化蛋白の除去
著者: 荻野英司1
所属機関: 1鐘淵化学工業株式会社ライフサイエンスRDセンター高砂研究所
ページ範囲:P.280 - P.284
文献購入ページに移動1.はじめに
生体内におけるメイラード反応(糖化反応)は,蛋白質などの遊離するアミノ基と還元糖との間で非酵素的に起こる.最初,アミン―アルデヒド間でshiff baseが形成され,分子内転移反応(アマドリ転移)を起こしてケトアミン構造(Amadoriproducts)を形成する(図1).このAmadoriproductsは種々の開裂・縮合反応を繰り返し,最終的にAGEs (advanced glycosylation end-products)と呼ばれる褐変物質に至る.AGEsの部分構造が一部同定されている(ペントシジン,ピラリン,クロスリンなど)が,糖化を受けたアミノ酸数,反応段階によって同一の蛋白質でもさまざまなAGEsを生成すると考えられる.
糖化を受けうるアミノ酸は側鎖にアミノ基を持つか,N末端に限られているので分子全体としては大きな影響は受けないように思える.ところが,糖化を受けた蛋白質は代謝において大きく変化することが数多く報告されている.糖化低比重リボ蛋白(low density lipoprotien; LDL)を例にとると,内皮細胞が処理する速度が未糖化LDLに対して摂取量で1/4,分解率で1/20に低下し1),血漿中のクリアランスが大きく低下する(正常LDLの血漿中48時間後の残量10%に対して糖化率23%LDLは30%)2).また,マクロファージの分解速度においても糖化アルブミンは正常アルブミンの50%に低下し,細胞内に蓄積されることが示されている.
生体内におけるメイラード反応(糖化反応)は,蛋白質などの遊離するアミノ基と還元糖との間で非酵素的に起こる.最初,アミン―アルデヒド間でshiff baseが形成され,分子内転移反応(アマドリ転移)を起こしてケトアミン構造(Amadoriproducts)を形成する(図1).このAmadoriproductsは種々の開裂・縮合反応を繰り返し,最終的にAGEs (advanced glycosylation end-products)と呼ばれる褐変物質に至る.AGEsの部分構造が一部同定されている(ペントシジン,ピラリン,クロスリンなど)が,糖化を受けたアミノ酸数,反応段階によって同一の蛋白質でもさまざまなAGEsを生成すると考えられる.
糖化を受けうるアミノ酸は側鎖にアミノ基を持つか,N末端に限られているので分子全体としては大きな影響は受けないように思える.ところが,糖化を受けた蛋白質は代謝において大きく変化することが数多く報告されている.糖化低比重リボ蛋白(low density lipoprotien; LDL)を例にとると,内皮細胞が処理する速度が未糖化LDLに対して摂取量で1/4,分解率で1/20に低下し1),血漿中のクリアランスが大きく低下する(正常LDLの血漿中48時間後の残量10%に対して糖化率23%LDLは30%)2).また,マクロファージの分解速度においても糖化アルブミンは正常アルブミンの50%に低下し,細胞内に蓄積されることが示されている.
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