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シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 用語解説編
用語解説・3
著者: 戸田年総1 須藤加代子2
所属機関: 1東京都老人総合研究所分子生物学研究系遺伝子情報部門 2東京慈恵会医科大学附属第三病院臨床検査医学
ページ範囲:P.304 - P.307
文献購入ページに移動ゲノムインプリンティング(GDは哺乳類の父親・母親由来の2つのアレル(対立遺伝子)のうち,特定の一方だけが発現するように親の配偶子形成過程で遺伝子に何らかのマークづけを行う現象を言う.GIを受ける遺伝子の数は全遺伝子のほんの数%以下とわずかである.1991年に初めてのGI遺伝子としてマウスIgf 2(Insulin like growth factor 2)が発見されて以来,現在ではヒトとマウスで30以上が報告されている.これらの遺伝子はゲノム上に散在せずクラスターを形成している.
GIの過程では,親の精子・卵子形成時にマーク付けされた情報(インプリント)は,受精や複製を経て体細胞に伝達される.しかし,次の世代には伝達されない.このように体細胞には受け継がれるが,次世代には遺伝しない現象をエピジェネティックスな現象と呼ぶ.その機構の代表はDNAのメチル化とヘテロクロマチンのようなクロマチン構造である.特にメチル化はGIで本質的な役割を果たしていると考えられる.なぜなら,メチルトランスフェラーゼのノックアウトマウスではホモ接合では胎生期に死亡するが,GI遺伝子のアレル間の発現差が認められない.
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