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文献詳細

雑誌文献

臨床検査44巻3号

2000年03月発行

文献概要

トピックス

イムノアッセイによる生体成分の複数同時定量

著者: 前田昌子1

所属機関: 1昭和大学薬学部

ページ範囲:P.315 - P.319

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1.はじめに
 イムノアッセイは一般には,特異性の高い抗体を利用して多数の成分中の特定成分を選択的に測定する方法として,種々の生理活性物質の測定に利用されてきた.その測定は多数検体であっても1回のアッセイで1種の物質のみを定量する方法で,同時に多成分を測定する方法はあまり知られていなかった.
 Hemmila I1~3)らにより開発された希土類イオンキレートを標識に用いた時間分解蛍光イムノアッセイ(TRFIA)は,希土類イオンの特徴である長寿命の蛍光とシャープな蛍光波長により,従来の蛍光検出イムノアッセイより高感度に測定できる方法として知られており,多くの生体成分の測定に応用されている.彼らは希土類イオンのうち,ユーロピウム(Eu),サマリウム(Sm),テルビウム(Tb)およびディスプロシウム(Dy)の4種を標識し,その蛍光特性を利用して4成分の同時検出の試みを報告している4).しかしその方法は非常に複雑で,実用には適さなかった.その後,この種の報告はほとんど見あたらなかったが,最近,筆者らはEuとSmを標識に用い2~3成分の同時アッセイをいくつか試みたので紹介する.さらにイムノアッセイの高感度検出の観点から,生物発光検出法が報告されているが,遺伝子組替えで調製したホタルルシフェラーゼのうち,ある種のアミノ酸を変換することにより,色の異なる発光が観察されることが見い出された.これらのルシフェラーゼを標識に用いた生物発光酵素イムノアッセイによる2成分同時測定についても紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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