文献詳細
文献概要
今月の主題 微生物培養検査のサンプリング 巻頭言
微生物培養検査のサンプリング
著者: 菅野治重1
所属機関: 1千葉大学医学部臨床検査医学
ページ範囲:P.471 - P.472
文献購入ページに移動微生物検査の検体に共通する問題として,検体は,(1)感染症の急性期に,(2)抗菌薬投与前に,採取する必要がある.(1)の問題は特に腸管感染症において重要であり,多くの腸管感染症は下痢発症から3~5日後には便中から病原体は消失してしまうため,急性期を逃すと微生物学的診断が困難となる.また急性期以降の,治癒期あるいは慢性期の検体から検出される微生物は,抗菌薬投与によって感受性菌が消失し,耐性の菌種が増加した結果,耐性菌が起炎性とは無関係に"菌交代現象"として検出される場合が多く,治療の必要性は慎重に判断する必要がある.このように病期によって検出菌の意義が異なることは,医師においても,検査室においても,あまり認識されていない.この問題に対しては検査依頼時に医師から詳細な患者情報を入手する必要があるため,オーダーリングシステムが重要となる.
掲載誌情報