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文献詳細

雑誌文献

臨床検査44巻5号

2000年05月発行

文献概要

研究

唾液腺穿刺吸引細胞診―組織診と細胞診の不一致例の検討

著者: 有光佳苗1 広川満良2 鐵原拓雄3

所属機関: 1エスアールエル西日本病理細胞診グループ 2徳島大学医学部第一病理学講座 3川崎医科大学附属病院病院病理部

ページ範囲:P.579 - P.582

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 唾液腺穿刺吸引細胞診83例における組織診と細胞診の不一致例を検討した.良性・悪性に関する不一致率は報告時22.9%,見直し時21.7%で,その内訳は採取不良例と診断困難例がほぼ半数を占めていた.採取不良例は良性病変の9.1%に,悪性腫瘍の17.6%にみられ,良性病変では炎症性疾患および神経鞘腫に頻度が高かった.推定病変に関する不一致率は報告時27.4%,見直し時14.9%で,非腫瘍性病変,悪性腫瘍での推定が困難であった.組織診断との不一致例を少なくするためには,診断に十分な量の細胞を病変部から的確に採取すること,診断者が各病変に特徴的な細胞像を熟知しておくことが肝要と思われた.細胞診における診断難解例として,非特徴的な細胞所見を呈する炎症性疾患,良悪性や由来細胞の判定が困難な神経鞘腫および悪性神経鞘腫,細胞異型の乏しい低悪性度群粘表皮癌,種々の成分が混在する悪性混合腫瘍などがあることを認識しておく必要があると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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