文献詳細
文献概要
今月の主題 慢性閉塞性肺疾患 総説
慢性閉塞性肺疾患の病因解明への挑戦
著者: 別役智子1 西村正治1
所属機関: 1北海道大学医学部第一内科
ページ範囲:P.713 - P.719
文献購入ページに移動 慢性閉塞性肺疾患の中で最も頻度の高い肺気腫は,ほとんどが喫煙者に発症し,喫煙は本症の主病因である.しかし喫煙者の中で肺気腫を発症するのは10~15%であり,喫煙以外の個体側の遺伝的あるいは環境による内因の関与が強く示唆される.肺気腫の病因としてのプロテアーゼ・アンチプロテアーゼ仮説は,概念的には理解しやすい.しかし,実際の証明は難しく,近年次々に発見された多種類のプロテアーゼ・アンチプロテアーゼの存在は全体像を描くことをさらに難しくしている.慢性喫煙のみで,肺気腫病変を呈するマウスモデルの確立は,遺伝子や蛋白の発現や欠損を操作する技術革新を利用し病態を解明することを可能にする.肺気腫の診断,治療の効果判定という観点からは,数十年という経過で徐々に進行する肺気腫の生化学的なマーカーの発見,開発の研究が期待される.
掲載誌情報