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文献概要
シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編
Bisulfite-PCR-SSCP(BiPS)
著者: 前川真人1
所属機関: 1浜松医科大学臨床検査医学
ページ範囲:P.771 - P.776
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CpGアイランドはヒト遺伝子のおよそ60%のプロモーター領域に見いだされる.これらのCpGアイランドは通常はメチル化されていない.プロモーター領域のメチル化は遺伝子の転写,X染色体の不活化,ゲノム刷り込み現象や発癌に関係している。異常なメチル化はヒト発癌において早期の段階でしばしば認められ,近年では発癌の過程で癌抑制遺伝子やミスマッチ修復遺伝子などのメチル化昂進によって,それら遺伝子の発現が抑制されることが,遺伝子不活化の原因の1つとして重要であることがわかってきた.このような遺伝子の変化はKnudsonのtwo hit theoryの1hitに相当する1).
従来,CpG配列におけるDNAメチル化は,メチル化によって消化できなくなる制限酵素を用いてサザンプロット解析をすることによって調べられてきた2).しかし,これには多量のDNAを要すること,制限酵素で認識できる配列のみしか調べられないことが欠点として挙げられていた.このうち,PCRを用いた方法,すなわち,メチル化認識制限酵素で切断した後,PCRを行い,増幅産物の有無で判定する方法がある3).しかし,これはDNAの必要量が減るが,不完全消化により切断されていないDNAが増幅され擬陽性をきたしてしまう危険性がある.
CpGアイランドはヒト遺伝子のおよそ60%のプロモーター領域に見いだされる.これらのCpGアイランドは通常はメチル化されていない.プロモーター領域のメチル化は遺伝子の転写,X染色体の不活化,ゲノム刷り込み現象や発癌に関係している。異常なメチル化はヒト発癌において早期の段階でしばしば認められ,近年では発癌の過程で癌抑制遺伝子やミスマッチ修復遺伝子などのメチル化昂進によって,それら遺伝子の発現が抑制されることが,遺伝子不活化の原因の1つとして重要であることがわかってきた.このような遺伝子の変化はKnudsonのtwo hit theoryの1hitに相当する1).
従来,CpG配列におけるDNAメチル化は,メチル化によって消化できなくなる制限酵素を用いてサザンプロット解析をすることによって調べられてきた2).しかし,これには多量のDNAを要すること,制限酵素で認識できる配列のみしか調べられないことが欠点として挙げられていた.このうち,PCRを用いた方法,すなわち,メチル化認識制限酵素で切断した後,PCRを行い,増幅産物の有無で判定する方法がある3).しかし,これはDNAの必要量が減るが,不完全消化により切断されていないDNAが増幅され擬陽性をきたしてしまう危険性がある.
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