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文献詳細

雑誌文献

臨床検査44巻7号

2000年07月発行

文献概要

トピックス

サリンを分解する酵素SMP30

著者: 丸山直記1

所属機関: 1東京都老人総合研究所分子病理部門・研究部

ページ範囲:P.795 - P.795

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 SMP30(Senescence Marker Protein-30)は加齢に伴い肝臓で減少する蛋白を解析している過程で発見された蛋白である1).この30kDaの蛋白はカルシウム結合能を持ち肝細胞,腎臓尿細管細胞に多く発現されているほかに膵臓や心臓にも発現している.ラットでは胎生期に発現せず肝臓では生下時から腎臓では生後10日目あたりから発現することから,臓器の機能発達に関連する物質と考えられる.SMP30遺伝子はX染色体に位置し,アミノ酸配列は動物種間で強く保存されており重要な機能を担っていることが推察される.発見当初は機能が明らかではなかったが,細胞膜カルシウムポンプの活性化や細胞接着能を亢進させることが明らかとなってきた.カルシウムポンプの活性化は低酸素時の細胞内カルシウム増加を抑制し,細胞死から保護する機能があり高齢者における臓器保護に貢献していると思われる.もし欠損があるとすれば主疾患の予後に影響する因子となると筆者は考えている.
 そのSMP30に最近,思わぬ機能が加わった.ミシガン大学のLaDuのグループがラット肝細胞中の可溶化分画に存在するDFP (diisopropylphosphorofluoridate)の分解を指標にDFPase活性を持つ可溶性蛋白を抽出し,そのアミノ酸配列を解析したところSMP30と同一であることがわかった2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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