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サリンを分解する酵素SMP30
著者: 丸山直記1
所属機関: 1東京都老人総合研究所分子病理部門・研究部
ページ範囲:P.795 - P.795
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そのSMP30に最近,思わぬ機能が加わった.ミシガン大学のLaDuのグループがラット肝細胞中の可溶化分画に存在するDFP (diisopropylphosphorofluoridate)の分解を指標にDFPase活性を持つ可溶性蛋白を抽出し,そのアミノ酸配列を解析したところSMP30と同一であることがわかった2).
そのSMP30に最近,思わぬ機能が加わった.ミシガン大学のLaDuのグループがラット肝細胞中の可溶化分画に存在するDFP (diisopropylphosphorofluoridate)の分解を指標にDFPase活性を持つ可溶性蛋白を抽出し,そのアミノ酸配列を解析したところSMP30と同一であることがわかった2).
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