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文献詳細

雑誌文献

臨床検査44巻7号

2000年07月発行

文献概要

トピックス

子宮頸部悪性腺腫が産生する特異的ムチン

著者: 石井恵子1

所属機関: 1長野県がん検診・救急センター検査部病理

ページ範囲:P.796 - P.798

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1.はじめに
 子宮頸部の悪性腺腫は1870年にGusserowにより,"組織学的に良性病変を思わせるにもかかわらず,臨床的には予後不良"と初めて記載された特異な病変である.頻度は子宮頸癌の1%にも満たない比較的まれな腫瘍と考えられてきた.しかし実際は細胞異型が乏しいため,既存の頸管腺との区別が難しく,特に初期変化は見過ごされてしまっている可能性がある.
 組織学的には,従来は"正常頸管腺に類似した,核が基底に位置する1層の粘液分泌性上皮より成る腺管から構成されているが,どこか一部に低分化な部分が見いだされる"と言われてきた.ところが手術例の詳細な検討の結果,本腫瘍は胃幽門粘膜の形質を発現していること,上に述べた典型的な腺管のほか,異型性を欠く胃上皮化生様の腺管や,異型が明らかな腺癌組織が共存していること,さらに約2割程の頻度で腸型の形質発現を示す腺管の混在を認めることが明らかとなった1)(図1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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