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文献詳細

雑誌文献

臨床検査44巻9号

2000年09月発行

文献概要

トピックス

新たな視床下部ペプチド オレキシン

著者: 伊達紫1 中里雅光1 松倉茂1

所属機関: 1宮崎医科大学第3内科

ページ範囲:P.1023 - P.1026

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 視床下部は摂食行動やエネルギー代謝などのホメオスタシスに強く関与する部位である.視床下部腹内側核(VMH)の破壊により,動物は過食となり肥満をきたし,視床下部外側野(LH)の破壊により無食無飲となり痩せをきたす1).これらのことからVMHは満腹中枢として,LHは摂食中枢として認識されてきたが,それらを制御する生理活性物質はほとんど明らかにされていなかった.オレキシンA,オレキシンBはG蛋白結合受容体のリガンドとして,1998年にヒト,ラットおよびマウスの視床下部から単離・同定されたペプチドホルモンである2)
 オレキシンAは33アミノ酸より成り分子内に2か所のS-S結合を持つペプチドで,オレキシンBは28アミノ酸より成る直線状のペプチドである(図1).いずれもC末端がアミド化されている.オレキシンA,オレキシンBは単一遺伝子よりコードされ,46%のアミノ酸相同性を持ち,脳に特異的に発現している.オレキシンAはヒト,ラットおよびマウスでアミノ酸構造が完全に保存されており,一方オレキシンBはラットとマウスにおいては同一だが,ヒトでは2残基異なっている(図1).オレキシン受容体(OXR)にはオレキシンAに対する親和性がオレキシンBに対する親和性より約100倍高いOXR 1と,両ペプチドに対する親和性がほぼ同程度であるOXR 2との2つのサブタイプがある2).これらの受容体もオレキシン同様脳に特異的に発現しており,オレキシンが中枢神経系の調節ペプチドとして機能していることを示唆する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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