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文献詳細

雑誌文献

臨床検査45巻12号

2001年11月発行

文献概要

今月の表紙 帰ってきた寄生虫シリーズ・23

ヒゼンダニなどダニ類

著者: 藤田紘一郎1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫病学

ページ範囲:P.1500 - P.1501

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 ダニ類による病害には,吸血・刺咬による皮膚炎,室内塵中のダニによるアレルギー性疾患,病原体の媒介,ダニの存在そのものによる不快感や恐怖感などの精神的病害などがある.ヒトの皮膚内に寄生するダニにはヒゼンダニ(Sarcoptesscabiei)とニキビダニ(Demodex folliculorum,D.brevis,毛包虫)がある.ヒゼンダニはヒトを固有宿主とし,体長は雌成虫400μm,雄成虫200μmで,体表には特有の棘状突起と横に走る線状紋理があり,歩脚は退化短縮している(図1).交尾した雌は指間などの皮膚の角皮層に潜り込んでトンネルをつくりながら産卵する.産卵は1日約3個で約2か月間続く.卵は3~8日で艀化し約2週間で成虫となる.約1か月の潜伏期間後にかゆみの強い疥癬を生じる(図2).腹部,胸部,大腿内側,鼠径部,腋窩,肘,手指に好発する.特徴的な疥癬トンネルは皮膚表面よりすこし盛り上がった線状疹で,長さ数ミリから数センチに及ぶ.トンネル先端には小水疱があり,雌成虫が潜んでいる.皮疹のかゆみは就寝時に激しく,掻きくずすと,滲出性・紅斑性の湿疹様になる.皮膚の直接接触によりヒトからヒトに感染するので,性行為感染症の1つでもある.しかし,寝具などを介しても容易に感染する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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