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文献詳細

雑誌文献

臨床検査45巻12号

2001年11月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・11

エンドトキシンと白血球機能

著者: 内記良一1 切替照雄1 中野昌康2

所属機関: 1国立国際医療センター研究所感染・熱帯病研究部 2自治医科大学微生物学

ページ範囲:P.1597 - P.1604

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はじめに
 細菌が感染すれば生体の防御機構と直ちに接触するのは菌体の最外層である細胞壁である.生体内の殺菌物質,抗体,補体,白血球などによる攻撃に対抗するために,進化の過程で,ある菌では外毒素(エクソトキシン)を産生する能力を獲得し,また,多くのグラム陽性菌は細胞壁のペプチドグリカン(PG)層を厚くした.グラム陰性菌はPG層を厚くする替わりに,その外側に薄い外膜を作る道を選んだ.外膜の構成成分であるリポ多糖(lipopolysaccharide;LPS)(図1)は,エンドトキシン(内毒素)として,生体に毒素としての作用のみならず様々な薬理作用を示すことができる(表1).菌体が壊れれば当然エンドトキシンは放出されるが,菌が壊れなくても,分裂・増殖する場合にはLPSは過剰に合成され,菌体外へ放出される.エンドトキシンの生体に対する多彩な作用1,2)は菌と生体の相互が感染を通して長い進化の歴史の過程で獲得した結果であろう.
 白血球といえば好中球,好酸球,好塩基球を指すが,英語ではwhite cellsはred cell(赤血球)を除いた未梢血有核細胞のすべて,すなわち,白血球,単球,リンパ球,NK細胞を含めた広い概念である.本稿では好中球を中心としたエンドトキシンの作用について述べるに留める.また,本稿ではエンドトキシンとLPSを特に断らない限り同義語として使用している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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