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今月の主題 酸化ストレス 話題
精神的ストレスマーカーとしての唾液中クロモグラニンA
著者: 中根英雄1 浅見修1 山田幸生1 矢内原昇2
所属機関: 1(株)豊田中央研究所生物部 2(株)矢内原研究所
ページ範囲:P.284 - P.287
文献購入ページに移動ストレスは,生体の定常状態(恒常性)が脅かされた状態と定義することができる1).生体はストレス状態に適応し,恒常性を回復しようとするが,このストレスに対する反応は大きく2つの系に分別されている.その1つは交感神経―副腎髄質系で,もう1つは視床下部―下垂体―副腎皮質系であり,前者は後者よりも早期に反応するとされている1).交感神経―副腎髄質系と視床下部―下垂体―副腎皮質系からは,ストレスホルモンとして,それぞれカテコールアミンおよびコルチゾールが分泌され,心拍の亢進や血糖の上昇を促し,生体のストレス対処能力を高めるように作用する.したがって,カテコールアミンやコルチゾールを指標としてストレス評価が可能である.カテコールアミンは血液および尿,コルチゾールはこれらに加えて唾液を用いた測定が実用化されている.しかし,ストレス評価実験ではサンプリング行為自体がストレスになることは好ましくない.この点で唾液は,非侵襲性が高く,フィールドでの実験で頻繁なサンプリングを行っても被験者負担が少なく,検体として恰好である.しかし,唾液中カテコールアミンはルーチン的な測定が困難なことから,カテコールアミンに代わる唾液中の交感神経活動指標物質を探索した.
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