文献詳細
文献概要
シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・3
妊娠成立の免疫機能
著者: 藤井知行1 武谷雄二1
所属機関: 1東京大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.307 - P.312
文献購入ページに移動同種移植片としての胎児
胎児と胎盤の胎児側成分である絨毛細胞はその組織適合性抗原を半分父親から受け継いでおり,免疫学的に父親の性質を有している.したがって,胎児は,母体からみると半同種移植片ということになる.妊娠は,受精卵が子宮内膜の中に入り込んで着床し,胎盤を形成して母体との物質交換系を確立することで成立する.免疫学的にはこの現象は胎児が子宮の中に移植されている状態とみなすことができ,母体にとって異物である胎児は,本来は母体免疫系から拒絶されるべき運命にあるということになる.しかし,実際は拒絶を免れ,母体内で約9か月間発育する.この現象は従来の移植免疫学では説明が困難で,何らかの特殊な免疫機構の存在が考えられる.この特殊な免疫機構の仕組みを最初に唱えたのがMedawarである.
胎児と胎盤の胎児側成分である絨毛細胞はその組織適合性抗原を半分父親から受け継いでおり,免疫学的に父親の性質を有している.したがって,胎児は,母体からみると半同種移植片ということになる.妊娠は,受精卵が子宮内膜の中に入り込んで着床し,胎盤を形成して母体との物質交換系を確立することで成立する.免疫学的にはこの現象は胎児が子宮の中に移植されている状態とみなすことができ,母体にとって異物である胎児は,本来は母体免疫系から拒絶されるべき運命にあるということになる.しかし,実際は拒絶を免れ,母体内で約9か月間発育する.この現象は従来の移植免疫学では説明が困難で,何らかの特殊な免疫機構の存在が考えられる.この特殊な免疫機構の仕組みを最初に唱えたのがMedawarである.
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