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文献詳細

雑誌文献

臨床検査45巻4号

2001年04月発行

今月の表紙 帰ってきた寄生虫シリーズ・16

住血吸虫類

著者: 藤田紘一郎1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫病学

ページ範囲:P.348 - P.349

文献概要

 ヒトに寄生する住血吸虫類には日本住血吸虫(Schistosoma japonicum),ビルハルツ住血吸虫(S.haematobium),マンソン住血吸虫(S.mansoni),メコン住血吸虫(S.mekongi)およびS.intercalatumの5種が知られている.日本住血吸虫は中国・揚子江流域,フィリピン・レイテ島など,メコン住血吸虫はメコン川流域に,ビルハルツ住血吸虫は中近東,アフリカに,マンソン住血吸虫はアフリカ,南米,中近東で流行している.日本ではかつて甲府盆地,広島県福山市神辺地方,筑後川流域,利根川流域に日本住血吸虫の流行地があったが,現在は新しい感染はなく,慢性の患者がみられるだけである.最近は,熱帯地を旅行中に川や湖で泳いで感染する,いわゆる輸入感染症として重要である.
 成虫は雌雄異体で,雄は約体長12~20mm,体幅0.5mmで体前部は円筒状,体後部は鞘状で雌を包み込む抱雌管になっている.雌は体長約25mmで,抱雌管内にいる(図1).虫卵内には既に幼虫ミラシジウムが形成されている.日本住血吸虫卵は約70μmで卵殻の一方に小棘が突出している.ビルハルツ住血吸虫卵は長径180~190μmで大きな棘が後方に,マンソン住血吸虫卵は110~180μmで側後方に棘があり鑑別に役立っている(図2).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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