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破骨細胞をターゲットにした慢性関節リウマチ遺伝子治療
著者: 田中栄1 中村耕三1
所属機関: 1東京大学医学部整形外科
ページ範囲:P.897 - P.900
文献購入ページに移動 破骨細胞は多核の巨細胞でアメーバ状の外観をしており,高い走化性を有している.また最終分化した細胞であり,その生存期間は極めて短い(生体では数週間,培養すると数日で死んでしまう).骨吸収をつかさどる唯一無二の細胞であり,その分化,あるいは機能の亢進,抑制が骨の代謝,成長に決定的な影響を与える.慢性関節リウマチ(RA)は慢性に経過する全身性の関節炎を特徴とするが,その末期においては著明な骨関節破壊を呈し,患者のADLを障害する.したがって,骨関節破壊の抑制はRA治療の重要な目的の一つである.近年RA骨・関節破壊に破骨細胞が重要な働きをするという知見が集まってきたこと,そして破骨細胞の形成・活性化の分子メカニズムが明らかになってきたことから,破骨細胞を治療ターゲットにした新しいRA治療法が現在脚光を浴びている.本稿では,RAの骨・関節破壊のメカニズムについて最近の知見を概説し,破骨細胞をターゲットとした骨関節破壊治療についてわれわれのデータも含めて解説したい.
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