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今月の主題 テーラーメイド医療と臨床検査 各論
向精神薬の薬物反応性と遺伝子多型
著者: 三原一雄1
所属機関: 1弘前大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.53 - P.57
文献購入ページに移動 向精神薬の薬物反応性にかかわる遺伝的因子に薬物動態学的および薬力学的遺伝子変異がある.薬物動態学的遺伝子変異に代表されるものは,ほとんどの抗精神病薬,抗うつ薬の薬物代謝にかかわるcytochrome P 4502 D 6(CYP 2 D 6)の遺伝子多型である.CYP 2 D 6のフェノタイピングと治療濃度域の存在するいくつかの向精神薬の定常状態血漿濃度(Css)とは有意な関係があるものの,ジェノタイピングとCssとの関連は限られており,治療効果との関連についての報告は乏しい.薬力学的遺伝子変異として,ドーパミン,セロトニン受容体を中心とした薬物の受容体遺伝子変異が挙げられる.治療効果との有意な関連を検討した報告はあるものの追認された関係は限られている.これらの遺伝子多型が,個別の患者について薬物反応を予測するための客観的・生物学的指標として臨床的意義を持つかどうかはまだ明らかではない.
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