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今月の主題 テーラーメイド医療と臨床検査 話題
N-アセチル化転移酵素の多型と薬効
著者: 平塚真弘1 水柿道直1 山添康2
所属機関: 1東北大学医学部附属病院薬剤部・試験研究室 2東北大学大学院薬学研究科薬物動態学分野
ページ範囲:P.72 - P.76
文献購入ページに移動N-アセチル化転移酵素N-アセチルトランスフェラーゼ;NAT)活性の個人差が遺伝的に支配されているということは,1940~1950年代にすでに明らかにされていた.これは抗結核薬イソニアジド(INH)のアセチル化体尿中排泄の個人差を検討することにより判明した.INH服用後の血中濃度も二峰性の分布を示し,代謝が速いrapid acetylator(RA)と代謝の遅いslowacetylator(SA)が認められた.その後の遺伝子工学の発達により,この表現型はN―アセチルトランスフェラーゼ2(NAT 2)の遺伝子型と完全に一致することが明らかになった.また,詳細な分析の結果,一方のアレルが野生型で,もう一方のアレルが変異型のヘテロ接合体の代謝能はRAとSAの中間型(intermediate acetylator;IA)となり三峰性を示すことが判明した.INHのほかにスルファメサジン,ヒドララジン,プロカインアミド,ジアフェニルスルホンなどのNAT 2の基質薬物に関しても,同様な多型性が存在することがわかっている.さらにNAT 2だけでなく,ρ-アミノ安息香酸やρ-アミノサリチル酸の代謝酵素であるN-アセチルトランスフェラーゼ1(NAT 1)も遺伝的多型性を示すことが最近明らかにされている.
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