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文献詳細

雑誌文献

臨床検査46巻1号

2002年01月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・13

骨髄移植前における組織適合性検査

著者: 上村智彦1 原田実根2

所属機関: 1原三信病院血液内科 2九州大学大学院医学研究院病態修復内科学教室

ページ範囲:P.83 - P.89

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はじめに
 同種骨髄移植は造血幹細胞をドナー骨髄から採取してレシピエント(患者)に輸注して生着させることで,重症再生不良性貧血などの造血不全患者に対しては造血能再生をもたらす治療法であり,白血病などの難治性造血器悪性腫瘍に対しては骨髄破壊的な移植前治療による強力な抗癌腫瘍効果および免疫治療効果が期待できる治癒的治療法である.同種骨髄移植に代表される同種造血幹細胞移植の症例数は年々増加しているが,それは適応疾患が拡大される一方,造血幹細胞を末梢血から採取して用いる同種未梢血幹細胞移植や,臍帯血から幹細胞を採取して使用する臍帯血移植など,移植術そのものも多様化していることが理由として挙げられる.歴史を振り返ると,現在の同種骨髄移植はThomasらを中心としたシアトルグループにより,レシピエントに対する致死的前治療,MTXによるGraft-versus-host disease(GVHD)予防,ドナーとレシピエントの組織適合性の一致という不可欠な3要素が確立されたことにより可能となった1,2).1958年にユーゴスラビアで起きた原子炉事故の被爆者に対する骨髄移植を契機に起こった第1次骨髄移植ブームでは,組織適合性を調べることもなく,またGVHD予防も行わないまま行われ,惨憺たる結果に終わった歴史を考慮すると,ドナーとレシピエントの組織適合性一致の必要性を明らかにし,同種骨髄移植の具体的方法を確立したThomasらの業績は計り知れない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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