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尿中ジアセチルポリアミンと悪性腫瘍
著者: 平松恭子1 髙橋慶一2 杉本雅幸3 川喜田正夫4
所属機関: 1東京都臨床医学総合研究所医化学研究部門 2東京都立駒込病院外科 3東京都立大久保病院泌尿器科 4工学院大学応用化学科
ページ範囲:P.90 - P.94
文献購入ページに移動ポリアミンというのは多数のアミノ基をもつ低分子量のアルキルアミンの総称である.ヒトの体内には4種類のポリアミンと,そのモノおよびジアセチル体がある(図1).このうち,アセチル化されていない遊離ポリアミンは主として細胞内に見出される分子種である.多価カチオンであるポリアミンは,核酸その他のアニオンとの相互作用を通じて蛋白質合成や核酸合成の過程に影響を与えることが知られているが,その生理的機能は多年にわたる研究にもかかわらずまだ十分には解明されていない.しかし,活発に増殖する組織にはポリアミンが多量に含まれているだけでなく,そのような組織ではポリアミン代謝が活発であり,また,細胞内レベルも精密に制御されていることから,ポリアミンは細胞増殖およびその制御の過程で重要な役割を果たす物質の一つであると考えられている1).このことはまた,ポリアミン合成の律速酵素であるオルニチンデカルボキシラーゼを過剰発現させることによってNIH3T3細胞の癌化が起こることによっても支持される2).
細胞の中で役割を果たしたポリアミンは,アセチル体として細胞外に排出される.そのため,ヒトの尿中に排泄されるポリアミンの大部分はモノアセチル体で,遊離ポリアミンはごくわずかである.
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