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雑誌詳細

文献概要

特集 造血器腫瘍 Ⅳ 検査の実際

6.多発性骨髄腫と関連疾患―4)粘稠度

著者: 得平道英1

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター第二内科

ページ範囲:P.1436 - P.1438

血液粘稠度の測定
 流動している液体の粘性を規定しているのは,ずり応力および,ずり速度である.上下の平面に囲まれた間に液体があるモデルでは,片方の面が動くことにより液体は動き出す.このとき,動いている面に近い部分では速度が速く,離れるほど速度が遅い.この速度の変化をずり速度と呼んでいる.このずり速度はそのずれにより,一定の速度に収まる動きを起こす.すなわち早い流れは遅いほうに引き戻す力が働き,これをずり応力と呼ぶ.ずり応力はずり速度に比例することから,これをNewtonの粘性流動の法則と呼んでいる.粘度(粘稠度)とはこの両者間の係数であり,一般的に水や気体などでは粘度は物質により一定の値を示す.しかし,非Newton流体と呼ばれる血液やコロイド溶流などでは,その粘度はその時々のずり速度に応じて変化する1)
 生体内では,血液の粘稠度を規定している因子として血漿蛋白,血球数,血管抵抗および血球変形(主として赤血球)などが挙げられる.血液粘稠度として,毛細管の一定体積の中を検体が通過するのに要する時間を測定することにより粘度を求める測定系(Ostwald粘稠計もしくはHess粘度計など)が知られている.Ostwald粘稠計を用いた検討では,水を1とした場合の正常人の相対血清粘稠度は1.4~1.8であった.

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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