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文献概要
今月の表紙 電気泳動異常パターンの解析シリーズ・2
EDTAと反応するM蛋白
著者: 藤田清貴1
所属機関: 1信州大学医療技術短期大学部衛生技術学科
ページ範囲:P.120 - P.121
文献購入ページに移動 良性M蛋白血症(monoclonal gammopathy ofundetermined significance;MGUS)は,慢性炎症性疾患やある種の癌などに伴って出現するM蛋白であり,骨髄腫や原発性マクログロブリン血症などで出現する悪性のM蛋白血症とは異なることが知られている.一般に,MGUSの治療はその基礎疾患に対してのみ行われ,M蛋白そのものは治療の対象とはならない.しかし,MGUSでもM蛋白が臨床検査値に直接,あるいは間接的に影響を及ぼす場合が少なくない.
図1に51歳,男性のセルロースアセテート膜(セ・ア膜)電気泳動パターンを示す1).mid-γ位にM蛋白帯が検出され,免疫電気泳動によりIgG―μ型と同定された(図2).免疫グロブリンを定量したところ,IgGは2,010 mg/dlと軽度増加を示したが,IgA, IgMは減少傾向を認めないことからMGUSと診断された.本症例は難治性の結核性胸膜炎で開胸手術を受けたが,術前術後ともに白血球数が30,000/μ1もあることから紹介され来院した患者である.来院時の主な検査成績では貧血は認められなかったが,目視法とEDTAを添加せず採血した直後の白血球数は4,800/μlと同一であるのに対し,EDTA採血では52,300/μlと異常増多現象が観察された.また,EDTA採血では血小板数の若干の増多が観察されたが,赤血球数とヘモグロビン濃度にはほとんど差を認めなかった.
図1に51歳,男性のセルロースアセテート膜(セ・ア膜)電気泳動パターンを示す1).mid-γ位にM蛋白帯が検出され,免疫電気泳動によりIgG―μ型と同定された(図2).免疫グロブリンを定量したところ,IgGは2,010 mg/dlと軽度増加を示したが,IgA, IgMは減少傾向を認めないことからMGUSと診断された.本症例は難治性の結核性胸膜炎で開胸手術を受けたが,術前術後ともに白血球数が30,000/μ1もあることから紹介され来院した患者である.来院時の主な検査成績では貧血は認められなかったが,目視法とEDTAを添加せず採血した直後の白血球数は4,800/μlと同一であるのに対し,EDTA採血では52,300/μlと異常増多現象が観察された.また,EDTA採血では血小板数の若干の増多が観察されたが,赤血球数とヘモグロビン濃度にはほとんど差を認めなかった.
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