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文献詳細

雑誌文献

臨床検査46巻2号

2002年02月発行

文献概要

今月の主題 インフルエンザ―新しい知見 話題

人獣共通感染症としてのインフルエンザ

著者: 喜田宏1

所属機関: 1北海道大学大学院獣医学研究科疾病制御学講座

ページ範囲:P.163 - P.167

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1.はじめに
 20世紀,人類は多くの感染症を克服した.1980年に痘瘡が根絶され,麻疹,ポリオや風疹も今世紀初頭に地球上から姿を消すであろう.一方,インフルエンザは,その根絶どころか効果的な予防・治療の方法さえなく,いまだに人類を苦しめている.ウイルスの抗原性が変わるうえに,新型ウイルスが出現するためである.新型ウイルスとは,過去数十年間,ヒトが経験していないヘマグルチニン(HA)またはノイラミニダーゼ(NA)亜型のインフルエンザAウイルスのことである.
 インフルエンザは地球上に最も広く分布する人獣共通感染症であり,新型ウイルスの遺伝子は動物の世界から持ち込まれることがわかった.したがって,インフルエンザは,これを根絶することは当面不可能であり,その予防と治療法を確立することによって克服すべき感染症である.動物インフルエンザのグローバルサーベイランスを展開し,これまでの後追い型ではなく,先回り型のインフルエンザ克服戦略をミレニアムプロジェクトとして開始した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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