臨床検査46巻2号

2002年02月発行

トピックス

胃癌の術中腹腔内洗浄細胞診ガイドライン

著者： 広岡保明¹ 貝原信明¹

所属機関： ¹鳥取大学医学部第一外科

ページ範囲：P.194 - P.197

1．はじめに
　胃癌における最も重要な再発形式である腹膜再発を予測する目的で，術中腹腔内洗浄細胞診（以下，CYと略す）による腹腔内遊離癌細胞の検出・同定が始められた．その後，第70回日本胃癌学会総会コンセンサスミーティング^）1）においてCYを多施設で検討したところ，図1のごとく開腹時にP0（腹膜播種陰性）でCY 1（CY陽性）症例の予後はP1（腹膜播種陽性）症例の予後に匹敵するぐらい不良であることが判明し，「CYは胃癌患者の予後規定因子の1つである」，というコンセンサスが得られた．その結果，CYは胃癌取扱い規約第13版^2）（1999年6月発行）に採り入れられ，CY 1症例はすべて進行度（Stage） IVとなった．しかしながら，本邦すべての施設においてCY検査に精通しているわけではなく，その取り扱いに多少の混乱があったことは否めない．そこで，CYの検体処理法，細胞判定法，結果の報告様式を中心に日本臨床細胞学会としての統一性を図るため，胃癌の術中腹腔内洗浄細胞診ガイドライン^3）（2001年1月）が作成された．
　本稿では，ガイドラインの内容と問題点および今後の課題について概説する．