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シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・18
I型アレルギー反応の機序とその検査
著者: 斎藤博久1 中島敏治1
所属機関: 1国立成育医療センター研究所・免疫アレルギー研究部
ページ範囲:P.669 - P.675
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ヒトゲノム塩基配列情報のすべてが解読されようとしている現在,ポストゲノム,すなわち生体における網羅的な全遺伝子転写産物(トランスクリプトーム)やその蛋白質(プロテオーム)の研究が急速に進展している.従来10万程度と推測されていたヒト遺伝子数も,ドラフト解析完了の結果,3~4万であることがわかっている.従来,遺伝子発現の解析法として用いられてきたノーザンプロットや競合的RT-PCR法は,一度に解析できる遺伝子の数に限界があった.近年,多数の遺伝子発現を同時に解析するためにマイクロアレイ法が開発された.マイクロアレイ技術も急速に進歩しており,2002年始めにはAffymetrix社より約3万種類の遺伝子発現を一度に定量できる装置(Gene―Chip, U 133シリーズ)も発売され,真の意味でのベッドサイドにおけるトランスクリプトーム解析が現実味を帯びてきた.われわれはミレニアムプロジェクトの一環として,GeneChipなどを用いてI型アレルギー反応に関与する細胞での遺伝子発現を網羅的に解析しているので,その成果の一端を紹介し,免疫反応検査の新しい展開について論じてみたい.
ヒトゲノム塩基配列情報のすべてが解読されようとしている現在,ポストゲノム,すなわち生体における網羅的な全遺伝子転写産物(トランスクリプトーム)やその蛋白質(プロテオーム)の研究が急速に進展している.従来10万程度と推測されていたヒト遺伝子数も,ドラフト解析完了の結果,3~4万であることがわかっている.従来,遺伝子発現の解析法として用いられてきたノーザンプロットや競合的RT-PCR法は,一度に解析できる遺伝子の数に限界があった.近年,多数の遺伝子発現を同時に解析するためにマイクロアレイ法が開発された.マイクロアレイ技術も急速に進歩しており,2002年始めにはAffymetrix社より約3万種類の遺伝子発現を一度に定量できる装置(Gene―Chip, U 133シリーズ)も発売され,真の意味でのベッドサイドにおけるトランスクリプトーム解析が現実味を帯びてきた.われわれはミレニアムプロジェクトの一環として,GeneChipなどを用いてI型アレルギー反応に関与する細胞での遺伝子発現を網羅的に解析しているので,その成果の一端を紹介し,免疫反応検査の新しい展開について論じてみたい.
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