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受容体型チロシンキーゼ下流で働くアダプター蛋白質
著者: 鈴木健二1 木崎節子1 木本紀代子1 大野秀樹1
所属機関: 1杏林大学医学部衛生学公衆衛生学教室
ページ範囲:P.683 - P.686
文献購入ページに移動ヒトを含めた多細胞生物の形態形成や生命活動は,基本単位である1つ1つの細胞の増殖と分化が他の細胞との相互作用のもとに時間的,空間的に正しく制御されることによって成り立っている.それを可能にしているのが,精密かつ巧妙に構築された情報伝達のネットワークである.なかでも,受容体型チロシンキナーゼとその下流の細胞内情報伝達系は,広汎な生命現象にかかわる最も重要な経路の1つである.蛋白質のリン酸化は酵素などの機能蛋白質の活性を制御するだけでなく,多くの情報伝達分子を集めてシグナルの増幅と分岐の起点として働く.様々な細胞外刺激に対してどのような応答が引き起こされるかは,どのような細胞内情報伝達分子のセットが活性化されるかによって決定される.そこにはキナーゼやホスファターゼのような触媒活性をもった酵素に加えて,蛋白質同士の相互作用を介して直接情報の受け渡しを行う一群の蛋白質も働いている.この蛋白質問の結合にかかわる機能領域を分子内に2つ以上もち,それ自体は酵素活性をもたないものが「アダプター蛋白質」である.
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