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ヘリコバクター・ピロリ菌CagA蛋白による細胞内シグナル伝達系の攪乱
著者: 畠山昌則1
所属機関: 1北海道大学遺伝子病制御研究所病態修飾分野
ページ範囲:P.691 - P.693
文献購入ページに移動 ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)は全世界人口の約50%が保有すると推定され,その胃粘膜慢性感染は萎縮性胃炎ならびに胃潰瘍発症に深くかかわる.さらに近年ピロリ菌感染と胃癌との密接な関連が示され,世界保健機構(WHO)は1994年にピロリ菌をたばこと同じグループI発癌因子(definite carcinogen)に指定した.先進諸国において,ピロリ菌感染は胃癌の発症リスクを少なくとも6倍増大させる.なかでも,cagAと呼ばれる遺伝子を保有するピロリ菌はcagA陰性ピロリ菌に較べ,より高度の萎縮性胃炎を惹起するとともに,疫学的に胃癌発症と強い関連を示すことが明らかとなってきた1).ピロリ菌感染は,胃の粘膜系リンパ組織(mucosa-associatedlymphoid tissue;MALT)由来のリンパ腫発症にもかかわることが示唆されている.
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