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文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻10号

2003年10月発行

文献概要

今月の主題 聴覚障害とその診断 話題

新生児聴覚スクリーニングの現状

著者: 川城信子1

所属機関: 1国立成育医療センター第二専門診療部

ページ範囲:P.1164 - P.1165

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1.はじめに

 聴力障害は目に見えない障害であるために出生直後には気づかれにくい.成長して言葉が出てこないことで初めて聞こえないのではないかと気づかれる.言葉の発達のためには,早く診断して療育することが重要である.先天難聴は約1,000人に1人の頻度で起こる.先天疾患のなかでも発生率が高い.新生児集中治療室(NICU)では難聴の発生率は5%と高率になる.周産期の疾患,未熟児,仮死,低酸素状態,髄膜炎,アミノグリコシドの使用,利尿剤の使用など種々の因子が関係するからである.これまでは2歳前後で言葉が発達してこないことで難聴に気づかれた.しかし最近は,出生して間もない新生児期に聴覚についてスクリーニングを施行して早期に発見するようになった.これを可能にしたのは,各種の他覚的聴力検査を基礎にした機器の開発がなされたことである.米国では州で法律化され,全出生児を対象にUniversal Newborn Hearing Screening(UNHS:全新生児聴力スクリーニング)が行われている.

 日本では新生児聴覚スクリーニングについては法律的なきまりはないが,各自治体が主体で小児科医,耳鼻科医,療育関係者が中心になって新生児を対象に聴覚スクリーニングを行う試みがなされている.わが国では厚生科学研究として三科班が組織され,報告書が出された1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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