文献詳細
今月の表紙 電気泳動の解析シリーズ・10
文献概要
糖化蛋白であるフルクトサミンは,糖尿病の診断およびコントロールパラメータとして日常検査に広く普及している.一般にフルクトサミンは,その約60~70%以上はアルブミンであることが知られている.しかし,最近フルクトサミン測定における免疫グロブリンの影響が注目されている.
図1に60歳,男性のアガロースゲル電気泳動パターンを示す.症例1)は腰痛を主訴として来院し,多発性骨髄腫と診断された患者である.入院時の検査では,血清蛋白分画でβ位にM蛋白を認め,免疫電気泳動法によりIgA-κ型と同定された.しかし,抗アルブミン抗血清を用いた場合,図2に示すごとく,アルブミンの沈降線のほかにα2~β位に異常沈降線が形成された.総蛋白(10.7g/dl),IgA(6,390mg/dl)は著増していた.HbA1(7.4%)およびHbA1c(5.4%)は基準範囲内であったが,非糖尿病にもかかわらず血清フルクトサミンは1,020μmol/l(参考基準値:253~316μmol/l)と異常高値を示した.
図1に60歳,男性のアガロースゲル電気泳動パターンを示す.症例1)は腰痛を主訴として来院し,多発性骨髄腫と診断された患者である.入院時の検査では,血清蛋白分画でβ位にM蛋白を認め,免疫電気泳動法によりIgA-κ型と同定された.しかし,抗アルブミン抗血清を用いた場合,図2に示すごとく,アルブミンの沈降線のほかにα2~β位に異常沈降線が形成された.総蛋白(10.7g/dl),IgA(6,390mg/dl)は著増していた.HbA1(7.4%)およびHbA1c(5.4%)は基準範囲内であったが,非糖尿病にもかかわらず血清フルクトサミンは1,020μmol/l(参考基準値:253~316μmol/l)と異常高値を示した.
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