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文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻5号

2003年05月発行

文献概要

今月の主題 食中毒,その発症をめぐって 巻頭言

わが国における食中毒発生の最近の動向

著者: 三瀬勝利1

所属機関: 1医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構

ページ範囲:P.457 - P.458

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 食の安全が叫ばれ,関係者の日夜の努力にもかかわらず,食中毒の発生は少しも減少していない.保健所に届けられた数だけでも,年間3~4万人もの食中毒患者が出ている.届けられる事例は氷山の一角であり,実際の食中毒患者数はその百倍を超えると思われる.少なく見積もっても,年間数百万人の食中毒患者が出ている計算になる.幸い,医療の進歩や食料事情の好転により,食中毒による死者はほとんど出なくなっている.この点は極めて良い傾向といえる.

 食中毒の原因物質としては,細菌が圧倒的に多く,ウイルスがこれに次いでいる.フグなどの動物毒や,毒草や毒キノコなどの植物毒を摂取することによる食中毒も毎年発生している.発生件数は少ないが,死者の多くは動物毒や植物毒を摂取したケースで起こっている.農薬などの化学物質による食中毒は稀である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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