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文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻5号

2003年05月発行

文献概要

今月の主題 食中毒,その発症をめぐって 総説:病原因子・発症機序と検査法

小型球形ウイルス食中毒

著者: 宇田川悦子1

所属機関: 1国立感染症研究所ウイルス第二部

ページ範囲:P.483 - P.494

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〔SUMMARY〕 2000年から2003年始めまでに病原微生物検出情報(IASR)に報告された食品媒介が疑われるウイルス性食中毒のほとんどは小型球形ウイルス起因で,毎年10月から翌年3月の冬季に発生している.また,平成13年度内に発生した食品媒介が疑われる食中毒患者総数の約3割が小型球形ウイルス起因であった.

 小型球形ウイルス検査法は,従来法の電子顕微鏡検査法(EM法)とRT-PCR法による遺伝子診断法がある.現在,使用されているPCRプライマーの種類に依存して,遺伝子診断ではノロウイルスが一番多く検出されておりその遺伝子型はGII型が主で,GI&GII混合型,GI型と続く.遺伝子診断で検出できずEM法でのみ検出される小型球形ウイルスが存在していることは依然として問題で,遺伝子が陰性の検体についてはさらにEM法で検査することが大切である.

 小型球形ウイルスの表記方法に関し,現在若干混乱はあるが,EM法で形態学的に判定した場合は従来通り「小型球形ウイルス:SRSV」,またRT-PCR法,Hybridization法,Sequencing法などの遺伝子診断で判定した場合は,同定された各ウイルス科・属のウイルス名を表記することが望ましいと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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