icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻5号

2003年05月発行

文献概要

今月の主題 食中毒,その発症をめぐって 話題

鶏卵を介するSalmonella Enteritidis食中毒

著者: 中村明子1

所属機関: 1共立薬科大学

ページ範囲:P.495 - P.500

文献購入ページに移動
1. はじめに

 Salmonella Enteritidis(以下SE)を原因とする食中毒は,1985~1986年にかけて英国で急増し,またたく間に世界各国に拡がった.わが国でも1989年以降,諸外国と同様に鶏卵が原因とみられるSE食中毒が多発している.SE検出状況の推移をみると,1989年に急増したSEは1996年をピークとしてその後は減少傾向にある(図1).SEの減少傾向がみられるものの,2001年の厚生労働省食中毒統計によると,細菌性食中毒で2人以上の発生をみた638件のうち,サルモネラ属菌による食中毒は201件(患者数4,789名)で依然としてトップの座を占めており,全国で検出されたサルモネラ血清型に占めるSEの割合は,2000年55%,2001年53%,2002年60%で,SEは現在日本において最も高頻度に分離される血清型であるのが明らかである(図2).

 本稿では,SEの病原性,SE急増の原因,SE対策の現状について述べる.

 わが国におけるサルモネラの発生状況は,全国の地方衛生研究所および保健所(以下地研・保健所)から国立感染症研究所感染症情報センターに報告され,病原微生物検出情報として集計されている.本稿で用いるSEに関するデータは,主としてこの情報をもとに作成したものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?