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文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻5号

2003年05月発行

文献概要

今月の主題 食中毒,その発症をめぐって 話題

乳児ボツリヌス症の細菌学的診断とその予防

著者: 髙橋元秀1

所属機関: 1国立感染症研究所細菌第二部

ページ範囲:P.505 - P.511

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1.はじめに

 乳児ボツリヌス症は1976年に米国で初めて確認された病気であるが,以前から同様な症状を示す病気は報告されていた.病気が確認された経緯は,日本国内の食餌性ボツリヌス症の診断事例で便中の菌と毒素の検査が有効であることが報告されたことにより,米国CDCではボツリヌスを疑う患者の便材料を検査対象として診断法に取り入れた結果,乳児で起こる新しい型のボツリヌス症として確認された.わが国では,1986年に千葉県内の乳児がハチミツを原因食品としたA型ボツリヌス菌・毒素による最初の発生報告があった.その後,各地で17事例の発生報告がある.一般的なボツリヌス食中毒は発生に際し,食品衛生法第27条により届け出・報告が求められるが,乳児ボツリヌス症は1999(平成11)年に施行された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」により,全例把握することが必要な「四類感染症」となっている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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