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文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻5号

2003年05月発行

文献概要

今月の主題 食中毒,その発症をめぐって 話題

サッポロウイルスによる下痢症

著者: 中田修二12

所属機関: 1札幌医科大学医学部 2なかた小児科

ページ範囲:P.519 - P.525

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1. はじめに

 サッポロウイルス(Sapporo virus;SV)はカリシウイルス科に属するウイルスで,同じカリシウイルス科のノーウォークウイルス(Norwalk virus;NV)(詳細は別項参照)とは,遺伝学的に異なるだけでなく,臨床的にも大きな違いがみられる.すなわち,NVがウイルス性食中毒の主要原因であり,かつ,乳幼児から老人まで全年齢層に胃腸炎を引き起こすのに対して,SVは主に5歳未満の乳幼児に急性胃腸炎を引き起こす.

 電子顕微鏡による観察では,「ダビデの星」と称せられる(図1-A),いわゆる,カリシウイルスに特徴的な表面構造をもっている.免疫学的にも遺伝学的にも多様性に富むため,また,検出感度を高める必要性などから,その検出には主に遺伝子検査が用いられている.本稿では,まず,最近確定したカリシウイルスの国際分類について述べ,次いで,SVに関してその歴史的背景,臨床的特徴,遺伝学的分類,最後に,遺伝子検査を中心に現在行われている確定診断法について解説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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